介護しながら働く保育士
わが息子が生後6か月から通う保育園には、リフレクソロジーの資格を生かして、 お母さんの介護をしながら、非常勤で保育士として働いている方がいます。その方は、朝早い時間に勤務していて、毎日のように挨拶はしていたのですが、それ以外の挨拶をしたことがありませんでした。あるお休みの日にその保育士さんが、お母さんの手をにぎってゆっくり歩いている脇を、息子が走り抜けて行ってぶつかりそうになったので、「すみません」と私が謝ると、保育園で会う時と変わらない笑顔で返してくれました。翌日保育園でまたお会いしたので、「昨日はすみませんでした」と改めて謝りましたが、「大丈夫よ、子供が元気なのも親孝行だから」と笑顔で返してくれました。別の保育士さんから聞いたところ、その保育士さんを育てたお母さんは、仕事を持っていたそうで、最近までその仕事を続けていたそうですが、足を骨折したのをきっかけに歩くのに支障が出て、補助がないと歩くのは難しくなってしまったそうですが、そんなお母さんの介護をしている保育士さんは、「わたしに弱いところなんて今まで見せたことがなかったお母さんが、私を頼ってくれることがうれしいし、忙しくて一緒に散歩なんてしたことがなかったから、今が楽しい」と話していたことがあるそうです。朝は暴れる子供の相手をし、それはそれで疲れる仕事だと思います。それで家に帰ればお母さんの介護もあるというのに、そんなことが言えるってとてもステキは人だなぁと思いました。
ぜひ見習いたい保育士さんが行う介護
先日、素晴らしい介護の姿を見ました。久しぶりに訪ねた叔母の家族です。この数年寝たきりになっていた叔母の様子を見がてら、従姉妹にも会いたくて行きました。従姉妹の妹の方は以前保育士をしていたことは知っていました。その彼女が同居して叔母の面倒をみているのです。彼女は仕事が面白かったのか、忙しすぎたのか、それとも保育士という仕事柄、出会いが少なかったのかなど理由ははっきりしませんが結婚しないまま中年になりました。決してそれを悔やんでいるそぶりも見せず、健気に叔母の面倒をみています。驚いたのは話し方でした。寝たきりで、ぼけてきている叔母が何度も同じことを言っても、その度に「はい、そうね、そうだわね。」と、いやな顔ひとつせずに答えてやっているのです。窓を開けて風を入れてあげながら「今日もお空がきれいねえ。お母さんとおんなじよ、きれいよ。良かったわねえ。」など、介護をしているとは思えないほど、それは明るく、楽しそうな話しかけ方だったのです。実際、彼女はニコニコと笑顔を絶やしません。結婚して家を出た姉の方は、深刻でギクシャクとした様子に見えました。同じことを繰り返して聞いてくる叔母をうるさそうに、面倒そうに見ていたのです。でも、その姉に対しても彼女は同じ態度で「お姉ちゃん、怒らない怒らない。眉間にシワがよっちゃうよ。はいチーズねって笑うのよ。」など、まるで言い聞かせるように話しかけます。帰り際、私は彼女にそっと「ねえ、何か悩んでいることはない?何か私にできることがあったら言ってね。」と言いました。すると彼女は「あら、今日来てくれたことが、できることの全部でいいのよ。」と言うのです。介護はつらくないかと聞いたら、「子どもに戻ったって考えればいいの。見た目はおばあちゃんだけど、子どもなのよ。今でも私は保育士さんなのよ。」とも言いました。私は胸がいっぱいになりました。保育士さんがみんなこんなふうに介護できるかどうかはわかりません。でも彼女は間違いなく子どもの扱い方、幼い子の心の動きを知っている保育士さんならではの介護に対する考え方を持っているのだと思います。もし私がこういう立場になったら、ぜひ保育士さんの姿勢を見習って介護にあたりたいと思ったシーンでした。